共有持分のトラブルは?事前に押さえておきたい事例一覧
共有持分の不動産を保有する場合、何かとトラブルが発生しがちです。
単独名義の場合は問題とならないことでも、共有持分の場合は権利関係が複雑となるため、どうしてもトラブルが生じてしまいます。
場合によっては、裁判沙汰となることもあり、費用がかかるだけでなく人間関係の悪化にもつながる可能性があります。
よって、共有持分の物件を持つリスクを正しく理解して、事前にトラブル回避する対策が必要です。
では、共有持分ではどのようなトラブルが発生する可能性があるのでしょうか。
この記事では、共有持分物件をお持ちの方に、共有持分の物件における主なトラブルについて詳しく解説します。
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目次
共有持分にはどんなトラブルがあるか
共有持分には、さまざまなトラブルが生じます。
よくあるトラブルとしては、主に以下3つのパターンが多いです。
- 相続におけるトラブル
- 婚姻による夫婦間でのトラブル
- 第3者間でのトラブル
各パターンによって、トラブルの度合いが異なります。
ここでは、各パターンにおけるトラブルの詳細について解説します。
相続におけるトラブル
共有持分でトラブルが発生する主なパターンとして、相続が挙げられます。
例えば、親が亡くなった場合に実家の相続を行う場合です。
きょうだいが2人いて、お互いに半分ずつの権利が与えられて相続人となるケースが大半です。
その場合、もし兄の方が物件を手放したいと考えていても、もう1人の共有者である弟側が拒否すれば売却できません。
これは、共有持分物件すべてを売却する場合、共有者全員の同意が必要になるためです。
全員の同意を得なければならないのは、民法で定められたルールであり、遵守しなければなりません。
さらに、相続ならではの問題として相続の回数が増えれば増えるほど、共有者が増えていく点が挙げられます。
最初の相続時は、きょうだい2名で共有者となった場合でも、次の世代に相続する場合はそれぞれに相続すると共有者が続々増えていきます。
最終的には10人を超える共有者となり、お互い誰が共有者であるのかが把握できなくなるケースが多いです。
共有者が増えていくと、共有者が認知症となった場合など、交渉が難しくなるリスクもあります。
以上の点から、共有者が増えれば増えるほど、管理が煩雑になるリスクがあると理解しておく必要があります。
婚姻による夫婦間でのトラブル
夫婦で共有持分をお互いに保有する場合があります。
結婚期間中はとくに問題になりませんが、トラブルが発生するのは離婚時です。
離婚する場合、お互いが物件の権利を取り合う場合が多く、大きなトラブルに発展する可能性があります。
離婚時、通常は財産分与によって結婚期間中に夫婦で貯めた財産を分配しなければなりません。
預貯金だけでなく株式や生命保険、そして不動産についても公平に分配する必要があります。
以上により、単純に保有している資産は半分ずつ分配する必要があります。
ただし、実際の住宅を半分に分割するのは困難であり、交渉次第ではどちらか片方に夫婦の一方が家を取得する場合が多いです。
このケースでは、公平な分配とするために、家の価額の半分を代償金として支払って、他の財産で調整するケースがあります。
第3者間でのトラブル
家族や夫婦間以外でも、第三者と共有持分物件を保有する場合があります。
共有持分については、自分の持分を他人へ売却する場合は、とくに他の共有者に対して同意を得る必要はありません。
ただし、自分の勝手な判断で物件全体を売却しようとすると、トラブルに発展する可能性が高いです。
また、共有者が自己保有分の共有持分を不動産業者などに売却すると、業者が他の共有者に対して安く売却するように迫り、トラブルになる可能性があります。
相続による共有持分のトラブル事例
相続による共有持分のトラブル事例として、主に以下が挙げられます。
- きょうだいでそれぞれ思惑が異なりトラブルに発展
- 賃料を独り占めされる
各トラブル事例について、詳しく解説します。
事例①:兄弟でそれぞれ思惑が異なりトラブルに発展
父が死去したため、実家をきょうだいで共有持分としました。
ただし、共有持分となる段階で兄としてはそのまま住み続けたいと考えています。
逆に、弟は少しでも現金がほしいため売却を希望しました。
お互いにそれぞれの思惑があり、話し合いは平行線をたどった結果、きょうだいの関係にひびが入る形となってしまいました。
最終的には、弁護士を交えて売却する形で決着したものの、きょうだい関係の悪化は修復できないままとなる場合があります。
事例②:賃料を独り占めされる
相続する物件に、賃料収入が発生する場合にはトラブルが多く発生します。
具体的には、相続した土地を他人に貸しており、月10万円の収入があるとします。
その収入は、本来であれば共有者全員に均等に振り分けなければなりません。
それを、兄が勝手に独り占めしてしまうといったトラブルが発生する可能性があります。
婚姻による夫婦間での共有持分のトラブル事例
夫婦間で共有持分を持つ場合のトラブルとして、以下の2点が挙げられます。
- 離婚時にお互いが権利を主張する
- 住宅ローンの支払いが困難となる
各トラブル事例について、詳しく解説します。
事例①:離婚時にお互いが権利を主張する
夫婦仲が悪くなり、別居を経て離婚に至ることがあります。
もし離婚となった場合、先に紹介した通り財産分与が行われ、財産を均等に分配しなければなりません。
預貯金と同時に、高額となりがちな不動産の分配は、お互いがなんとしても確保したいものです。
すべての財産を均等割する場合、不動産の場合は共有持分により保有する必要があります。
ただし、共有持分となると後々売却したくても相手の同意が必要となるため、単独名義で保有するために各種交渉を行います。
ただし、離婚する夫婦の場合は話し合いで解決できないケースが多いです。
もし、協議で決定できない場合は家庭裁判所による調停、審判で最終判断が下ります。
裁判沙汰となると、社会的な影響も大きくトラブルを起こしていると認識されてしまいます。
事例②:住宅ローンの支払いが困難となる
共有持分となった場合、単独物件と違い市場価値が下がる傾向があります。
もし、住宅ローンを組んでいて返済が困難となると、任意売却でしなければならないことがあります。
ただし、共有持分物件は任意売却でも当然低い評価額となってしまい、競売により安く売却が成立して大きな借金だけが残ってしまう事例が多いです。
第3者間での共有持分のトラブル事例
第3者間で共有持分を持つ場合のトラブルとして、以下の3点が挙げられます。
- 他の共有者から売却を拒否される
- 他の共有者と連絡が取れない
- 業者から脅迫される
各トラブル事例について、詳しく解説します。
事例①:他の共有者から売却を拒否される
第三者との共有持分となった場合、最も困る事例が売却を拒否されるケースです。
自分自身では売却を進めたいのに対して、他の共有者は面倒な手続きが必要となるため、同意しない場合があります。
もちろん、同意拒否されると売却できずに自己保有している部分のみを売却するなどの対応が必要となります。
事例②:他の共有者と連絡が取れない
他の共有者に対して、売却の同意を得るために連絡を取りたくても、連絡が取れないトラブル事例も多いです。
とくに、共有者が多くなればなるほど、共有者を管理するのは大変です。
連絡が取れないからといって、同意を得ないまま勝手に売却は進められません。
また、仮にコンタクトが取れても相手が認知症を患っており、会話が進まないトラブルも多いです。
事例③:業者から脅迫される
第三者が自己保有分を業者に売却する場合、業者側としては他の共有者の持分を買い取って、自己保有として価値を高めたいものです。
そこで、他の共有者に対してなるべく安く売却するように強く迫り、トラブルに発展する場合があります。
すべての業者が脅迫するわけではありませんが、悪徳業者が少なからず存在しています。
逆に、自分の共有持分を業者に売却して、他の共有者に恨まれる形でトラブルに発展する場合も多いです。
トラブルに発展しないように対応を図ろう
共有持分物件に対しては、何かとトラブルが生じがちです。
トラブルが発生した場合、いかに被害を最小限とするかの対応が必要です。
また、トラブルに巻き込まれない対応も必要となります。
トラブル事例をよく理解して、トラブルに巻き込まれないように注意してください。
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