借地権とはどんな権利?売買の際に抑えておきたい知識
現代において借地権は、戦後とは使い方が違うので借地権の変遷を知ると戦後、住宅を建てる際の土地の活用方法の変化が分かります。
ここでは、借地に家を建てたいとお考えの方に借地法をもっと効果的に使っていただくために借地法の基本をご紹介します。
借地権の相続は、普通の土地と違っていろいろと煩雑です。
ただ、売買の際には知っておいて損はありません。
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目次
借地権とは
借地権とは家や建物を建設するときに、土地の所有者に賃料を払って土地を借り受けてそこに建物を建てる権利です。
民法上の借地権と借地借家法に基づく借地権があります。
昔は、家を建てる時に土地まで買う余裕がない場合に、土地を借りて家を建てるケースが多かったです。
土地の賃借権や地上権が一般的な借地権であり、月極駐車場や資材置き場などの借地権は民法上の借地権になります。
今回の借地権は、借地借家法に基づく借地権になります。
借地権は5種類に分かれており、
- 普通借地権
- 定期借地権
- 事業用定期借地権
- 建物譲渡特約付借地権
- 一時使用目的の借地権
です。
今回は5種類の中でも通常よく使われる旧法での借地権と普通借地権、定期借地権について解説します。
借地権の場合、土地と建物の権利は違う方が持っています。
土地の権利は土地の所有者が持っており、建物の権利は賃借人が持っていますが、借りている土地に賃借人はどんな建物でも建てて良いわけではありません。
何かを建てるには必ず土地の所有者の許可が必要です。
同じ土地に二つの権利が並立していると考えましょう。
以下の記事で、そのほかの訳あり物件に関する内容をまとめています。
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借地権の種類
借地権には「賃借権」と「地上権」があります。
借地権の場合、土地に建物を建てる際には土地の所有者の許可が必要です。
また、その土地を賃借人が借り受ける場合、土地の所有者に賃料を払います。
地上権の場合、賃借人の意思で自由に売却や転貸ができます。
一戸建ての場合、賃借権の方が使われるケースが多いです。
種類①旧借地権
旧借地権は、旧借地法に基づき、新法が制定されるまで施行されていた法律です。
旧借地権は大正10年に制定されました。
戦後の混乱期の中、土地を持っていない場合でも家や建物を建てたい方のために、土地を借りて家を建てられるように旧借地法が作られたのです。
平成4年8月からは新法が施行されたので、平成4年8月までに建てられた建物については旧法が適用されます。
旧法の借地権は、建物の構造によってその存続期間が異なります。
旧借地権の契約期間は、
- 堅固な建物は30年
- 非堅固な建物は20年
となっております。
これは戦時中に戦争に行っている家主の家族を守るために制定されました。
戦後のバブル期には、借地では土地の有効活用ができず、旧借家法が改正されました。
種類②普通借地権
普通借地権は最も一般的な借地権です。
その土地に建てる建物の種類や用途に制限が無いため、借りる方にとっては使いやすい借地権です。
契約の期間を定める必要はありますが、当事者間での合意で決められます。
それ以降は更新を繰り返すと、更新されなくなるまでずっと(半永久的に)土地を借りれます。
借地法では更新時に、正当な理由がない限り土地の所有者は更新を拒めません。
借主側は更新の手続きをするか、その土地を利用し続けるだけで更新したと認識されます。
その土地に長く住み続ける意思がある場合は、借り手にとっては有利な権利になります。
一般に、「借地権」とは、この普通借地権を指す場合が多いです。
今では借地権という言葉を使う場面も少なくなっていますが、旧法の借地権と区別されています。
普通借地権は借りる側に大きなメリットがあり、多くの建物で適用されている権利です。
種類③定期借地権
現在の借地借家法で、新しく設けられた借地権です。
土地の賃貸契約が満了すると、更新されずに土地が土地の所有者に返還されます。
用途の制限は無く、主に住宅やマンションなどに使われています。
この借地権が利用される場面は意外に少ないのが特徴です。
土地が返還される約束がされているため、土地の所有者は安定的に土地を貸せます。
長い間利用しない土地を定期借地契約で貸すと、土地の所有権を保持しながら、賃料(地代)の収入を得られます。
この権利を利用する方は少ないです。
マンションなどの建物を建てるには相当なお金が必要なため、定期借地権を使う方が少なくなっているのかもしれません。
現在は、建物を建てる方は土地も同時に購入するのが一般的になっているため、借地権を使う方も限られています。
現代では、投資用のマンションを建てるケースも多いため、土地活用の方法として、定期借地権を利用してマンションを建てて運用も可能です。
普通借地権は利用者に有利に、定期借地権は土地の所有者に有利な権利になっています。
普通借地権と定期借地権の違いを知ると、もっと土地を有効に活用できます。
借地権がついている物件の特徴
借地権がついている物件としては、建物だけの売買は、土地の所有者の許可が必要です。
借地権の特徴として、その土地の権利は土地の所有者にあります。
そのため土地を賃貸した場合、土地の所有者に対して賃料(地代)が支払われます。
その土地に建物を建てた場合、無断での売却はできず、必ず土地の所有者の許可が必要です。
また、建物を建て替える時も、土地の所有者に事前に連絡する必要があります。
そして土地の賃貸契約期間が満了すると同時に、土地は土地の所有者に返還されます。
土地の所有者から借りた土地に建物を建てた場合、建物の権利は借りた側です。
借りた土地に建物を建てた場合、土地の所有者の許可がなくては売却できず、建て替える場合には、土地の所有者に連絡が必要です。
賃貸契約期間が満了し、契約を更新しない場合、土地を更地にして土地の所有者に返す必要があります。
借地権のある土地は、普通に買った土地よりも制約が多いです。
借地権がついている物件というのは、その土地の建物と土地の権利の所有者が違います。
土地を使用する場合は、土地の所有者にも許可を得る必要があり、その部分がこの賃借権の特徴であり、複雑な部分であるといえます。
借地権付き物件が売却される際に借地権はどうなる?
賃借権がついた建物であっても売買は可能です。
土地の権利を持っていなくても、借地権がついている建物として売却ができます。
地上権の場合は、土地の所有者への合意なく売却したり転貸したりが可能です。
しかし、賃貸借権の場合、土地の所有者の許可が必要となっています。
借地権付き物件を売却する際には、土地の所有者に借地権売却の許可を得て、借地権売却の実績のある不動産業者を選んでください。
借地権はあくまでも権利なので、権利だけを売れます。
また借地権付きの物件を売るのも可能です。
しかし、借地権付きの物件を他人に売る際には土地の所有者の許可が必要です。
借地権付き物件が売却されても、借地権はなくなりません。
その借地権付きの物件は土地の所有者のものだからです。
なので、借地権付きの物件を買う方がその土地まで購入した場合にはその土地の借地権は消滅します。
借地と底地
この記事では借地権について説明してきましたが、借地と同じものを指す言葉として底地があります。
地主から見て貸している土地が底地、借地人から見て借りている土地が借地です。
下記記事では底地について解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
借地権をもっと賢く活用するために
いままで借地権の内容や種類などを見てきましたが、借地権について、法律に慣れていなければなかなか難しいものでしょう。
借地権とは、土地を買わずに借りて建物を建てたときに発生する権利です。
基本的に権利なので売買も譲渡もできます。
その土地に別のものを建てたり、その土地を売ったりするときには、地主の方の許可が必要です。
定期借地権などは、便利な権利になっています。
家を買うとき、なかなか土地までは買えない場合、土地を借りるという選択もあります。
これから家を建てたい方やマンションなどの建物を建てようと考えている方は、ぜひご参考にしてください。
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